購買行動プロセスを自分で定義してみよう【例:SIITEDCS】
更新日:2023年8月19日 筆者:鈴木俊雄(@smart_plan_ts、Facebook)
購買行動プロセスを自分で定義してみよう【例:SIITEDCS】
購買行動プロセス(AIDAやAIDMAやAISASなど)は、既に何種類ものパターンが提唱されています。ですが、自分のビジネスやマーケティング、ターゲットにぴったり合うかというと、そうではない場合もあります。
そんなときは、購買行動プロセスを自分で定義してみるという方法がおすすめです。
例)購買行動プロセスの自作例
例:SIITEDCS(シーテデックス)
- 検索(Search)
- 感心(Impressed)
- 関心(Interest)
- 信頼(Trust)
- 体験(Experience)
- 欲求(Desire)
- 確信(Conviction)
- 安心(feel Safe)
※ SIITEDCS(シーテデックス)は、先人がすでに提唱してくれている、いくつもの購買行動フレームワークを参考に、筆者(私個人)が勝手に定義したものです。
【 目次 】
購買行動プロセスを自分で定義してみよう【例:SIITEDCS】
購買行動プロセス(AIDAやAIDMAやAISASなど)は、もう既に何種類ものパターンが提唱されています。
ですが、、、
- 「この要素が抜けているんだよな…」
- 「この要素が余計なんだよな…」
- 「この購買行動プロセスだとなんかしっくりこないなぁ…」
などと思ったことはありませんか?
そんな場合は、自分で自分用の購買行動プロセス、購買行動フレームワークを独自に定義してみるという方法がおすすめです。
独自の購買行動プロセスとは
独自の自分用の購買行動プロセスといっても、べつに画期的なプロセスや皆に共感されるフレームワークを作る必要はありません。世に公表したり提唱する必要もありません。
すでに先人が世に公表してくれている、いくつもの素晴らしい「購買行動プロセス」「購買行動フレームワーク」を参考に、ちょっとだけ加工し、勝手に自分用にぴったり仕上げるだけでいいんです。
あなたのターゲット(潜在顧客、見込み客、顧客)を良く観察し、ターゲットの話を良く聞き、購買行動の心理や要素を洗い出し、順序よく並べれば、自分用の「購買行動プロセス」「購買行動フレームワーク」の出来上がりです。
参考)
すでに先人が世に公表してくれている、いくつもの購買行動プロセスのフレームワークについては、下記の記事にまとめてあります。
➡︎ 【保存版】購買行動フレームワーク23パターン(プロセス図付)
例:購買行動プロセスSIITEDCS(シーテデックス)とは
私個人が定義した購買行動プロセス、購買行動フレームワーク「SIITEDCS(シーテデックス)」を例に説明していきます。
購買行動プロセスのフレームワーク「SIITEDCS(シーテデックス)」は、先人が提唱してくれている、素晴らしいいくつもの購買行動フレームワークを参考に、筆者(私個人)が勝手に定義したものです。
自分のビジネスやマーケティングに対して、しっくりくるものがほしかったので、真剣に時間をかけて独自に定義したものです。
私の場合は、
- 事業形態…個人事業
- ターゲット…自分が商品となるようなビジネス(例:コンサル業や講師業など)をされている方で、WEBマーケティングの初心者の方
- マーケティング手法…『スマートHP集客(※)』(検索マーケティング+リストマーケティング)
- 主な商品…WEBマーケティングに関する講座やコンサル
- 提供方法…対面ZOOMオンラインコンサルやデジタルコンテンツ
※『スマートHP集客』も私独自の手法ですが、そのベースは、王道の検索マーケティングと、王道のリストマーケティングを組み合わせたものになっています。
といったビジネスやマーケティングの形態となっています。
なので、上記に該当しない人には適さない場合があります。
中大手の企業、SNSメインの集客、物販ビジネス、店舗ビジネス、薄利多売ビジネス、などの場合は、私の定義した購買行動プロセスは合わないかもしれません。
でも、「SIITEDCS(シーテデックス)」は、私個人にとってはピッタリで、しっくりくる購買行動プロセスとなっています。
(…と、こんな感じの基準で自分用の購買行動プロセスを考えていければOKです。)
※ 私と同じように、“自分が商品となるようなビジネス”(たとえばコンサル業や講師業など)をされている方であれば、「SIITEDCS」がピッタリくる人もいるかもしれません。その場合はぜひ参考にしてみてください。
SIITEDCS(シーテデックス)とは
SIITEDCS(シーテデックス)の購買行動プロセス要素は下記の通りです。
SIITEDCS(シーテデックス)
- 検索(Search)
- 感心(Impressed)
- 関心(Interest)
- 信頼(Trust)
- 体験(Experience)
- 欲求(Desire)
- 確信(Conviction)
- 安心(feel Safe)
このプロセスは、これまで実際に私自身が行なってきた集客〜販売プロセスの中で、各段階での相手(潜在顧客や見込み客)の状態や思いなどを見聞きしてきたものを参考に整理したものになっています。
(あなたも、自分の集客〜販売プロセス、および、これまで接してきた見込み客や顧客の状態や思いなどを思い出してみましょう。)
SIITEDCS(シーテデックス)の購買行動要素
購買行動プロセスSIITEDCS(シーテデックス)の購買行動の各要素をもう少し詳しく説明していきます。
注 “購買行動”と言っていますが、どちらかというと“購買心理”に重きを置いたプロセス表現となっています。
検索(Search)
人は、悩みや願望があると、まず、Googleなどを使って検索(※)する傾向が強いです。
なので、私の場合は、自然検索(オーガニック検索:Google検索やYahoo検索などのこと)をプロセスのスタートとしています。たまにWEB広告をスタートにすることもありますが、メインは自然検索としています。
ネット検索 → 検索結果 → 記事(ホームページ内のブログや記事コンテンツ)
※ 今はGoogle検索でなく、SNS検索の時代だという意見もあります。たしかに、たとえばスイーツやファッションなどはSNS検索かもしれません。ですが、深い悩みや真剣な願望などに対しては、まだまだGoogle検索などが主流であるというデータや報告があります。
感心(Impressed)
検索の次にターゲットが触れるのは、検索結果からアクセスしてくる記事コンテンツです。それはブログ記事かもしれないし、きちんと体系化された記事コンテンツかもしれません。
いずれにしても、そこで良い記事に触れると、ターゲットはその記事をブックマークしたり、その記事ページのURLをメモしたりします。
良い記事と思ってもらえる重要なポイントが「感心」です。この「感心」をわかりやすく言うと、
たとえばですが、
- すごくわかりやすかった!
- めちゃ具体的で詳しい!
- なんと、そうだったのか!
- 新たな気づきが得られた!
- この筆者は他とちょっと違う!
- なんかちょっと感動!
といったようなことです。このように読者に思っていただけるかどうかが重要なポイントになります。
この「感心」が無いと、検索マーケティングの場合は、次に進んでくれません。感心されなかった瞬間にブチっと、あなたのページは閉じられ、そこで終わりです。
なので、この「感心」を二つ目の要素として組み込んでいるわけです。
関心(Interest)
「良い記事だね」と感心だけされても、それだけだとターゲットはその先に進んではくれません「感心」のあとは「関心」につなげていく必要があります。
「感心」も「関心」も読み方は同じ「かんしん」ですが違う「かんしん」ですね。
「関心」を言い換えると「自分ごと」です。自分(ターゲット自身)に関係することかどうかです。「感心」の先に「関心」が無いと、その先にターゲットは進んでくれません。
具体的な施策例としては、記事を読んでもらったあと、ターゲットの「関心」をひくオファーを提示して、リストに登録してもらう。などが代表的なものとなります。
「関心」はマーケティングの超重要ポイントです。なので、「関心」という要素を購買行動プロセスに組み入れているわけです。
信頼(Trust)
人は「信頼」していない相手に対して行動を起こそうとはしません。ましてや、お金を支払うような行動は絶対にしません。
なので、ターゲットがリストに登録してくれたら、そのあとは、信頼を得るために、ひたすら価値を与え続けていきます(価値が伝わりにくい場合は教育も組み合わせていきます)。
Give & Take ではなく、
Give & Give & Give …の精神ですね。
これにより、少しずつだとしても確実に「信頼」が築けていけます。
「信頼」なき成功はあり得ません。なので、私の場合は「信頼」という要素を購買行動プロセスに組み入れています。
体験(Experience)
信頼をある程度獲得できたとしても、売り手が提供する商品やサービスをこの時点ではまだ「必要だ!」「欲しい!」とは思っていません。
なので、その商品やサービスに少しだけ触れてもらいます。要するに「体験」してもらうわけですね。(このとき、もろ商品やサービスを全面に押し出すと体験を拒否されるので注意です。)
「体験」してもらうことで、このあと提案する商品やサービスが、必要か不要か、欲しいか欲しくないかをターゲットにジャッジしてもらいやすくします。
また、そもそも、ターゲットは買ったり契約する前に、「試したい・体験したい」と思っていることが多いです。そして、「体験」というプロセスを通すと、そのあとの成約率が良くなることも分かっています。
ということで、「体験」という要素を購買行動プロセスに組み入れています。
欲求(Desire)
ここまでスムーズに流れてくると、一定の確率で「欲求」が生まれている人が出てきます。
プレゼンテーションなどで、あともうひと押ししないと「欲求」が生まれないケースもありますが、感心、関心、信頼、体験と経てきたターゲットには、プレゼンテーションもしやすくなります。
「欲求」が生まれたら、あと少しでプロセスのゴールです。
確信(Conviction)
たとえ「欲求」が生まれたとしても、商品やサービスに手を出すこと(=お金を支払うこと)はとても怖いことです。飴やガムを買うのとわけが違いますからね。何万、何十万、ときには100万以上を支払うわけですから怖いです。
なので、
- このように絶対になりたい!
- わたしには絶対に必要なものだ!
- この人なら間違いない!
- この商品サービスなら間違いない!
- この金額になるだけの価値がある!
といったような「確信」がターゲットに生まれないと、購入や契約への扉は開かれません。どのように確信してもらうのか?…がポイントです。
安心(feel Safe)
相手が確信しても、「でも、ほんとうに大丈夫だろうか…」といったような、さまざまな「不安」が必ず最後まで残るものです。そういうものですよね。
なので最後は(最後じゃなくても)「安心」を与えてあげる必要があります。わかりやすい施策例で言うと返金保証などが該当します(注:実際にはもっと多方面での安心を与えていく必要があります)。
「安心」を得られてからでないと人は行動(購入や契約)しません。
行動(Action)
最後は行動(購入や契約)でゴールです。これはもう決まりきったことなので、プロセスの最後に「A:行動(Action)」は入れませんでした。省略しています。
なお、このあとには「満足」という要素や、「シェア」や「紹介」や「リピート」などの要素も出てきますが、プロセスが複雑になるので、ひとまず、購入や契約がゴールということで締め括っています。
・・・
以上、
自作の購買行動プロセスの例として、SIITEDCS(シーテデックス)を紹介しました。
(…と、こんな感じで、あなたも独自の購買行動プロセスを定義してみるのはどうでしょうか。)
例:自分用の購買行動プロセス作成手順
例として、自分用の購買行動プロセスを、独自に作成する手順もまとめておきます。この手順にこだわる必要はありませんが、参考にしてください。
新規サービスの購買行動プロセス作成時
これから起業するとか、新規サービスを始めるとか、そういう場合は、以下の手順を例とし、自分用の購買行動プロセス作成してみてください。
- 成功している競合を洗い出す
- 競合の販売プロセスを調査する
- その販売プロセスに伴う購買行動プロセスを推測する
- 上記をもとに自分用の購買行動プロセスを考える
- 自分用の購買行動プロセスから販売プロセスを構築していく
- 販売プロセスをテストする(NGの場合は戻るか改善する)
このように、起業するとか新規サービスを始めるような場合は、既に上手くいっている実例を参考にするのが一番です。
既存の購買行動プロセス見直し時
すでにマーケティングを実践しており、既存の購買行動プロセス見直したい場合は、以下の手順を例とし、自分用の購買行動プロセス、および、販売プロセスの見直しにつなげてください。
- 現状の販売プロセスを整理する
- その販売プロセスに伴う購買行動プロセスを整理する
- 成功している競合を洗い出す
- 競合の販売プロセスを調査する
- その販売プロセスに伴う購買行動プロセスを推測する
- 上記を比較し自分用の購買行動プロセスを見直す
- 見直し後の購買行動プロセスから販売プロセスも見直す
- 見直し後の販売プロセスをテストする(NGの場合は戻るか改善する)
この場合も、やはり、既に上手くいっている実例を参考にするのがおすすめです。その上手くいっている例と現状の自分のプロセスを比較してみてください。
そして、不足している要素を追加したり、独自の要素を組み入れたりして、より良い、購買行動プロセス、および、より良い販売プロセスに改善してください。
その他の独自の購買行動プロセス例
私の定義した購買行動プロセスを例として説明してきましたが、他には以下のような独自の購買行動プロセス例もあります。
例1.SAIDCAS(サイドキャス)
SAIDCAS(サイドキャス)は、GMOインターネット株式会社が提唱した購買行動プロセスです。2000年代初期のインターネット普及期のフレームワークですが、自社の成功モデルから起こした独自のものです。
当時のことは詳しく知りませんが、既存のフレームワークにこだわっていなかったことが伺えるので、紹介しておきます。
- Search(検索)
- Aware(認知)
- Interest(興味・関心)
- Desire(欲求)
- Conviction(確信)
- Action(行動)
- Satisfy(満足)
例2.AISEPAM(アイセパム)
AISEPAM(アイセパム)は、福岡の総合広告代理店の株式会社千年市場が提唱する、進路決定や不動産購入における独自の購買行動フレームワークです。
進学や不動産購入には従来の購買行動モデルが当てはまらないからという理由で、自分達用に独自のフレームワークを定義したということです。
- 注目(Attention)
- 興味(Interest)
- 検索(Search)
- 検討(Examination)
- 許可(Permission)
- 行動(Action)
- 専有(Monopoly)
その他の独自の購買行動プロセス
独自の購買行動プロセス例は、多く紹介できませんでしたが、実際にはもっとたくさんのオリジナルな購買行動プロセスがあると思います。
公表されていない購買行動プロセス
公表していないだけで、独自の購買行動プロセスをフレームワーク化したり定義している会社や人は、たくさんいると思います。
カスタマージャーニーマップ
購買行動プロセスのフレームワークという形ではなく、カスタマージャーニーマップという形でマーケティング施策を練っているケースも多いと思います。
マーケティングファネル
ファネル(マーケティングファネルやセールスファネル)という形でマーケティング施策を練っているケースも多いと思います。
・・・
もし、必要があるのであれば、あなたも独自の購買行動プロセス(またはカスタマージャーニーマップやファネルなど)を定義してみてください。
まとめ
あなたの場合、独自の購買行動プロセスを定義する必要があるかどうかは分かりません。先人が提唱している既存の購買行動フレームワークを適用すれば十分かもしれません。
ですが、本当にそれで良いのか?本当は違うのに、既存の購買行動フレームワークに寄せすぎちゃっていないか?…この辺りには少し注意してくださいね。
そして、既存であろうが独自であろうが、購買行動プロセスが正しく定義できたら、それを販売プロセスに落とし込むことを忘れないでください。
購買行動プロセスを正しく把握できるか?それを販売プロセスに落とし込めるか?そこがビジネスやマーケティングの成否を決める大きなポイントにもなります。
なので、この辺りについては、少し時間をかけてでも真剣に検討されることをおすすめしておきます。がんばってください。
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